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思わぬ収穫!面白さ満点「大名倒産」 原作未読でも楽しめる。ユニークな皮肉も含めて気軽に鑑賞できる秀作

by MOEPPP



大名倒産

監督/前田 哲(まえだ てつ)
近年大活躍の映画監督

陽気なギャングが地球を回す(06)
で知られるようになったがやはり
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話(18)
からだろう
老後の資金がありません!(21)
そして、バトンは渡された(21)

ロスト・ケア(23)
水は海に向かって流れる(23)
などコロナの影響で上映できなかった作品が立て続けに上映されているとはいえさまざまなジャンルの映画が上映されている。

出演/
神木隆之介
杉咲花
松山ケンイチ
小日向文世
小手伸也

越後、丹生山(にぶやま)藩で生まれ育った小四郎(神木隆之介)は、父の作る塩引鮭が大好きな、人が良すぎる青年。
しかし実は徳川家康の血を引く、先代藩主の隠し子。そんな事も知らず過ごしていた彼に大変な事態が訪れる。
先代藩主・一狐斎(佐藤浩市)から後継ぎとして呼び出される。一晩にして藩主になった小四郎だが、藩は25万両(100億円)の借金財政であることが判明する。一狐斎から内密に大名倒産の計画を打ち明けられるが、それも彼の思い描くけいかくだったのだが、その計画では多くの民が救われないことを知り、小四郎は奮起するのだが……

原作 小説 を上手に上手に 丁寧に丁寧に再現する そこに演技達者な役者を 過分なまでに加えることで
「まさしくエンターテイメント映画」として楽しくおかしくホロリとさせる痛快な作品に仕上がっている

やはり 神木隆之介の演技の上手さは鉄板。そこに 渋みとかっこよさがそなわった佐藤浩市とハリウッドに進出をしたとしても こういった 大衆演劇的な映画に出る 浅野忠信
さらに 小日向文世 などの 役者と 揃い踏みになることで これほどまでに ばかばかしくも 楽しく最後まで見られる映画になっているといえる

神木隆之介の 顔芸 とも言える 困った どうしよう 解決に向けた 喜怒哀楽の顔の表情は ファンならば見ているだけで楽しくなること間違いないだろう
イチ侍の息子だった彼が藩主になり、様々な困難に立ち向かう様子は観ていて背中を押したくなるようなキャラクターとして見事にキャラ立ちしている
やはりしっかりとした演技力を持ってるだけあって、どんな状況でもビシッときまった雰囲気を出せる彼の役者として凄さを感じられる。

そこに 杉崎花の可愛らしげな 大輪が咲くような 笑顔あふれる役どころも見逃せないところ
ほんと彼女のイメージされるキャラクター性を見事に当てはめたかのような役どころは、杉咲花にぴったりすぎると言ってもいいほどはまり役だろう。

そしてなんといっても佐藤浩市 である 貫禄も十分 演技力も十分 様々な社会派の映画に多く出演し渋みを感じさせる 日本の俳優の中でもトップクラスの彼がこういった映画に出演するということも佐藤浩市の魅力の一つ

例えば 「64-ロクヨン-(16)」 や「KT(02)」のような重厚感のある社会派映画や実話をベースにしたサスペンス映画でも佐藤浩市の魅力は十分に引き立たされていたが「釣りバカ日誌シリーズ」のようなコメディー作など豊かな映画に出演することによるギャップによる面白さがある俳優。そういったギャップ的な面白さも監督がキャスティングした糸があるのではないかともうところ

そして目が離せないと言うか 松山ケンイチの役どころは もったいない どころか マツケン だからこそできた 役とも言えるが、この役でマツケンを使うのかというほど贅沢な使い方をしているのがこの映画

松山ケンイチを筆頭に 桜田 通(さくらだ どおり)、小日向 文世(こひなた ふみよ)、小手 伸也(こて しんや)
石橋蓮司、宮崎あおい、近藤良平、勝村政信、などこの映画の脇を固める 俳優陣は全ての役者が一線級の俳優であり どの方々も様々な映画やドラマで目にしたことがある人が多いはずである そういった贅沢な脇役も含めた贅沢な使い方をしている分 コメディタッチでありながらも 経済視点であったり、政治への皮肉であったとしても嫌味がすくなく笑いに変えられるエンターテインメント映画としての秀作に仕上がっている

中でも桜田 通(さくらだ どおり)の約どころが面白い。
小四郎の兄役ではあるが、普段から仲の良い関係性がそのままえ映像からも伝わってくるほどの雰囲気。
イケメンで病弱…でありながら、癖の強いキャラクターはとても印象的だ

松山ケンイチと桜田通の3兄弟の仲の良さそうな演出は映画全体に「なんとなく優しい雰囲気」としても伝播しており、
出演者のほとんどで悪い人がいない…という、映画らしいほっこりした部分にも繋がっている

高田延彦の親ばか役もいいし、梶原 善(かじはら ぜん)の癖の強さあるキャラクターもいい
浅野忠信の切腹バカもいい

出演シーンはごく僅かながら、宮崎あおいの可愛さと美しさと母親らしい包容力ある雰囲気はほんわかさせてくれるのは間違いない。

こういった出演者の良さはもちろんだがシナリオもよく作り込まれており、オープニングから 地元の川で取れる鮭を塩に漬け込むという商品が出てきて 父の塩引鮭が日本一であるということを無邪気に語る 少年から始まるオープニング そこからトントン拍子に話は進み 先代の藩主 の隠し子である 小四郎が 藩主として 様々な 難題に取り掛かるという物語はテンポがよく、さらにそれぞれのキャラクターの個性を見事に引き出し、濃すぎるキャラクターそれぞれに見せ場を作ることで最後まで飽きることなく観ることができるのもポイントだろう。

今作のポスターはとても垢抜けた雰囲気で印象的ではある
しかし、シナリオの中身は政治を司るものの覚悟であったり 政治を司るものが何を考えて行うべきかを解いた 社会的なメッセージ性を折り込みつつ、コメディタッチで皮肉るという部分にまとめ上げている

最近は様々な政治不信なニュースが流れ、政治の司る者たちが国民のためにどういったことを本当にやるべきなのかを見失っているとしか言えない状況ともいえるが、この映画の中で小四郎が取る手段と考えは理想論かもしれないが 本来は政治を担当するものが 共通して持つべき 真理であり 信念であり 行動であることは明白で、理想論であったとしてもその理想に対して本気で取り組む姿を見せてくれる1本。そういう意味では大人が見れば観るほど納得とコメディめいた中にある批判を楽しめるという、古来からのエンターテイメントが持つユーモアを具現化した映画とも言える。

予告編などでは 本当の面白さが伝わりにくい作りになっており これは予告編が悪いのではなく この映画 自身が持っているポテンシャルが想像以上に面白く 楽しいものであるがゆえに 30秒であったり 60秒では伝えきれなかったのが一番正しいところかもしれない それだけ 映画 全体で言うと 楽しかった 見て楽しかったと思わせる映画である。

ぜひとも観て楽しさを共有してもらいたいと思う。

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