6人不明のまま…"知床"観光船沈没事故から1年 ボランティア苦渋の捜索断念 「伝え続ける」家族の決意 (23/05/27 09:00)

6人不明のまま…”知床”観光船沈没事故から1年 ボランティア苦渋の捜索断念 「伝え続ける」家族の決意 (23/05/27 09:00)



知床沖で観光船が沈没した事故から1年以上が経ちましたが、今も6人の行方が分かっていません。

 時間とともに捜索が難しくなるなか、今も向き合い続ける人たちを取材しました。

 知床の漁師・桜井憲二さん。

 同じ海に生きるものとして2022年4月の観光船沈没事故への責任を感じてきました。

 知床の漁師 桜井 憲二さん:「誰かが注意していれば防げた事故だったので、何かできればというのがありましたよね」

 行方不明者を捜すため2022年は6回、ボランティアと知床半島を歩いてきました。

 これまでに東京の乗客女性の骨や船長の遺体を発見。

 しかし、時間とともに捜索は難しくなり、新たな手がかりが見つからないことが増えていきました。

 桜井さんが望みを託していたのは、知床半島の対岸・北方領土の国後島です。

 2022年6月、国後島の海岸では乗客の女性と甲板員の男性の遺体が見つかり、サハリン経由で日本に戻っていました。

 知床の漁師 桜井 憲二さん:「ソコフさんが2人を見つけてくれたこと、大変感謝しています」

 2人を発見した島民のドミトリー・ソコフさん。

 桜井さんは再び島で行方不明者が見つかる可能性はないのか尋ねました。

 知床の漁師 桜井 憲二さん:「(遺体の発見以降)海岸線は歩きましたか?」

 ドミトリー・ソコフさん:「夏は、多くの人が集まる場所です。(遺体を発見した)場所は、漁業者がサケを取っている場所でもあります。6月から8月にはたくさんの人が集まるので、人が少ない時期の4月や5月に比べれば(発見される可能性が高い)」

 多くの人の目があったにも関わらず、手がかりはないという厳しい現実。

 それでも桜井さんは引き続き海岸線を確認してほしいとソコフさんに依頼しました。

 ドミトリー・ソコフさん:「船の名前が付いた救命胴衣や浮き輪などの漂着物が、海岸に打ち上げられている可能性もあるのでチェックします」

 知床の漁師 桜井 憲二さん:「感謝しかありません。みなさん救われています。本当にありがとうございます」

 桜井さんは男性に自分の人生も大切にしてほしいと伝えました。

 知床の漁師 桜井 憲二さん:「ひどい1年だったんですけど、少しでも前に進んでください、お願いします」

 自分たちが捜索をやり切ることで家族も進むことができる。

 5月4日、最後の捜索へ向かいました。

 観光船沈没事故の捜索には様々な人が参加しました。

 地元の消防署に勤務する中島圭一さん。

 当時、救急救命士として乗客の搬送にあたっていました。

 知床を楽しみに全国から来た人たち。

 捜索を続けるのは、家族の代わりに行方不明者を見つけてあげたいという思いからです。

 中島 圭一さん:「ここに住んでいる自分としては知床岬まで行く体力があり、経験もあります。行けるのは自分しかいないと思っています」

 札幌市から参加した遠山朋子さんは5回目の参加です。

 毎回、心の中で行方不明者に語りかけながら捜索しているといいます。

 遠山 朋子さん:「『来る人がいるから寂しくないからね』と心の中で思いながら」

 これまで全国の山々を登ってきた遠山さん。

 自分と同じように自然に魅了され、知床にやって来た人々の無念を噛みしめながら歩きます。

 遠山 朋子さん:「こんな素敵な景色を見に来たのに、帰れなくなっていまってこんな悲しいことはない」

 何度もヒグマに遭遇するなか、捜索隊は知床岬の海岸を約9時間かけ捜索しました。 

 動物のものとみられる骨や衣類の一部などが見つかりましたが、行方不明者は見つかりませんでした。

 知床の漁師 桜井 憲二さん:「何かをしてあげたくても、できることがなくなった。これ以上、何もしてあげられないというのが本音です。つらいことですが帰ってこない家族の分もがんばって、しっかり生きていってほしい」

 元妻と息子の帰りを待ち続けている男性。

 捜索隊が力を尽くして2人を探してくれたことが生きる力になっていました。

 男性:「『絶対何か見つけてやる」』という気持ちが心の支えになっていました。いま止まったままの時間をいつか進めることができたらと思います」

 事故を風化させないため2人の存在を伝え続けたいと考えています。

 チームとしての捜索は区切りを迎えましたが、独自の捜索は今も続いています。

 中島さんはこの日、別海町の野付半島を捜索しました。

 中島 圭一さん:「知床半島を中心に探してきましたが、他のところも所持品が流れ着いている可能性もあると思います。他のところも所持品が流れ着いている可能性もあると思います。少しでも何か手がかりになれば探して行きたいと思っています」

 今後はオホーツク海を沿岸を中心に稚内まで捜索範囲を広げていく考えです。

 伝え続けること、捜し続けること。それぞれが事故に向き合い続けています。

View Comments (1)
  1. 事故が理不尽すぎたから、桜井さんたちの活動を知って、遭難者の家族が救われているようでよかった。
    とてもよい動画だったが、さらに、動画の内容をテキストで概要欄に記述してくださって、親切な動画だと感じました。

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