愛知県の知多半島内半田市にあるアール総合法律事務所の弁護士・社会福祉士の榊原尚之と申します。
講師歴としては、元辰已法律研究所講師、元東京アカデミー講師、日本福祉大学ゲスト講師、元名城大学大学院非常勤講師
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40点を目指す講義NO.25 37条書面①の一部
1.37条書面の交付
前回は、35条書面(重要事項説明書)をやりました。今回は、37条書面(契約書面)を扱います。
37条書面とは、宅建業に関する取引における契約書面のことです。
書面とありますが、一定の者(契約の当事者)の承諾を得て、電子データ等の電磁的記録で提供することでもOKです(宅建業法第37条第4項、第5項)。
ちなみに、実務では、あまり「37条書面」とは言いません。契約書面と言うことが多いです。
37条書面の目的は、契約当事者間のトラブル防止になります。すなわち、契約内容を口頭だけで約束しても、その契約の効力は有効です。でも、契約を結んだ当事者間で将来トラブルが生じた場合、言った言わないという水掛け論になってしまいます。そこで、契約内容を証拠となる書面ではっきりと残しておき、将来のトラブルが生じるのを回避したり、契約書面を根拠にしてトラブルを解決していくという趣旨で、書面にしておくということです。
(1)37条書面の作成・交付について
①誰が、誰に対して、いつまでに交付するのか
宅建業法第37条
「宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。」
ア 誰が
37条書面の作成・交付の義務者は、宅建業者になります。
宅建士の義務ではありません。宅建士は、37条書面への記名が求められているだけです。
この義務は、たとえ相手方の承諾があっても、省略できません。
また、37条書面の作成・交付について、宅建士がする必要がなく、従業員にさせても構いません。
その関係で、たまたま宅建士が37条書面を交付する場合でも、請求がない限り、宅建士証を提示する必要はありません。
この点、35条書面の場合はどうだったでしょうか。
そう。客から請求がなくても、宅建士証を提示しなければなりません。というのは、宅建士であることを客に示す必要があるからです。
イ 誰に対して
契約の両当事者に対して交付します。
というのは、トラブルが生じ得るのは、契約の当事者だからです。
契約内容の証拠である契約書面を交付して、トラブルに備えてもらうということになります。実際、トラブルになるときは、契約書面を一字一句確認して、契約違反を追及していくことになります。
なので、例えば、宅建業者が売買契約の当事者となる場合であれば、当該業者が37条書面を作成し、相手(買主)に渡すことになります。
また、宅建業者が媒介や代理という形で売買に関わる場合には、売主と買主の双方に37条書面を渡すことになります。
ちなみに、35条書面の場合には、「誰に対して」説明をする必要があるのでしょうか。
そう。これから物件を取得しようと考えている人に対して説明する必要があります。というのは、そもそも重要事項の説明が求められるのは、物件取得のための判断材料の提供が目的だからです。
これに対し、これから物件を手放そうとしている人は、物件のことはある程度分かっているし、手放すわけだから、説明をされても時間の無駄だよという感じになります。なので、物件を手放す人に説明はする必要がないわけです。
ここのところは、契約書面とは異なります。要注意です。
では、宅建業者間の取引の場合はどのようにすればよいのか。
この点、特に異なる扱いにはなりません。というのは、知識のある宅建業者同士であっても、トラブルを避ける必要性は同じだからです。
なので、業者間取引でも、媒介や代理等を行う場合で、買主等が業者のときでも、37条書面を作成・交付する必要があります。
ウ いつまでに
37条書面の場合は、契約成立後遅滞なくということになっています。
35条書面のように契約が成立する前までではありません。
それから、ア、イ、ウ、つまり、宅建業法第37条違反の場合には、監督処分(宅建業法第65条第1項、第2項、第4項)、さらには、罰則(50万円以下の罰金)の対象になります(宅建業法第83条第1項第2号)。
ちなみに、監督処分の一つである指示処分は、すべての宅建業法違反が対象になります。
エ ひっかけに注意
37条書面の交付場所については、宅建業法上、規制がありません。どこでもOKです。
ちなみに、この点は、35条書面と同じです。
②37条書面への記名
宅建業法第37条第3項では、「宅地建物取引業者は、前二項の規定により交付すべき書面(第37条書面)を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名させなければならない。」と規定されています。
要するに、宅建士に記名をさせればよいということです。35条書面の時のように説明をさせる必要はありません。
では、どうしてこのような違いがあるのか。
そう。重要事項説明書(35条書面)は、専門家が説明をしないと、素人である取引の相手方は理解が困難です。しかしながら、契約書面である37条書面は、専門家が説明しなくても、理解できる程度の内容しか記載されていないからです。
では、1つの取引に複数の宅建業者が関与する場合、宅建士の記名はどのようにすればよいのでしょうか。
このような場合には、すべての宅建業者が、宅建士をして記名をさせる義務を負っています。
そして、例えば、ある宅建業者が作成した37条書面に違反があった場合、交付義務のあるすべての宅建業者が監督処分・罰則の対象となります。
では、宅建業者間での取引の場合は、宅建士の記名は異なる扱いになるのでしょうか。
この点、宅建業者間での取引だからと言って、異なる扱いにはなりません。
そして、以上のことは、専任媒介か一般媒介か、もしくは、重要事項の説明書面に記名をした宅建士と同じか否かは関係がありません。
それから、37条書面に宅建士をして記名をさせなければならないところ、これを怠ると、監督処分(宅建業法第65条第1項、第2項、第4項)、さらには、罰則(50万円以下の罰金)の対象になります(宅建業法第83条第1項第2号)。
なお、宅建士をして、書面内容を説明させたり、書面を交付させる必要はありません。要するに、37条書面においては、宅建士においては、記名をさせる必要があるだけになっています。
ここで、おさらいとして、宅建士に関する3つの法定業務を確認しておきます。
①重要事項の説明
②重要事項の説明書(35条書面)に記名すること
③契約書(37条書面)に記名すること(説明はなし)
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