Home » Celebrity » Male Actor » 今朝の秋(NHKドラマスペシャル1987年作品)

今朝の秋(NHKドラマスペシャル1987年作品)

by MOEPPP



山田太一と笠智衆の三部作と称されるのが、「ながらえば」「冬構え」、そして本作「今朝の秋」。
 何れも、老人や老夫婦の生き方、子供達との絆を通して、現代日本の高齢化社会が抱える問題をあらためて探る作品となっている。

 離婚から29年。人生の秋を迎えた元夫婦が一人息子の死を目前に再会。一家の思い出の地・蓼科で最後のひとときを過ごすなか、失われた家族の絆がよみがえる……。老いと人生の機微を描いた名作。

 蓼科にひとり暮らす宮島鉱造(笠智衆)は一人息子の隆一(杉浦直樹)が余命わずかと知り、東京の病院へ駆けつける。「八十過ぎてもこどもにろくな事は言えん」と悩む鉱造は、ある晩、蓼科に行ってみたいという隆一の言葉を聞き、「かまうもんか(病院を)抜け出しゃいい」とタクシーで蓼科へと向かう。
 二十数年前、家を出た元妻タキ(杉村春子)、隆一と離婚話が進んでいる嫁悦子(倍賞美津子)、孫娘(貴倉良子)、タキの店で働く美代(樹木希林)も蓼科にやってきて、ドライブや花火を楽しみ、思い出の歌をみんなで歌う。
 我が子がまもなく死を迎えるという親として耐えがたい痛み。自分と家族を捨てた妻との再会。四半世紀ぶりの共演となった笠と杉村、両名優の静かで激しい演技が心を揺さぶる。そして、布団からほとんど動かず、死を待つ男を表現しきった杉浦の存在感。父とこっそり病院を抜け出したことを「楽しかったなあ」と笑う隆一が微笑ましくも悲しい。

笠智衆
倍賞美津子
樹木希林
杉浦直樹
名古屋章
五大路子
加藤 嘉
杉村春子

原作: 山田太一
音楽: 武満 徹
演出: 深町幸男

You may also like

Leave a Comment