フロントライン
監督/関根 光才(せきね こうさい)
出演/
小栗旬
松坂桃李
池松壮亮(いけまつ そうすけ)
森七菜
桜井ユキ
美村里江
吹越満(ふきこし みつる)
滝藤賢一(たきとう けんいち)
窪塚洋介(くぼづか ようすけ)
2020年2月3日、乗客乗員3711名を乗せた豪華客船が横浜港に入港した。
香港で下船した乗客1名に新型コロナウイルスの感染が確認されており、船内では100人以上が症状を訴えていた。
日本には大規模なウイルス対応を専門とする機関がなく、災害医療専門の医療ボランティア的組織「DMAT」が急きょ出動することに。
彼らは治療法不明のウイルスを相手に自らの命を危険にさらしながらも、乗客全員を下船させるまであきらめずに闘い続ける。
「フロントライン」は、観る者の心を深く揺さぶる良作。
未知のウィルス危機に直面した人間たちの葛藤と、極限状況下での選択が、息をのむような緊迫感で描かれている。
豪華客船という閉鎖空間で刻一刻と迫る不安と未知のウィルスに対抗して一人でも命を救おうと戦うDMATの現場隊員。そして指揮する側の苦悩とルール遵守を絶対とされながらも臨機応変に対応する官僚の姿を描いており、単なるパニック映画ではなく登場人物一人ひとりの人間ドラマに焦点を当て、その心理描写は非常にていねいにえがいている。
現実離れしたヒーロー像ではなく、
等身大の人々がそれぞれの立場で奮闘する姿が
胸を打ち、希望と絶望が交錯する中で見出す人間の尊厳が、
観客に深い感動を与えるだろう。
小栗旬の演技の良いところ
小栗旬が演じたDMAT隊長の結城は、まさに彼の真骨頂を発揮した冷静沈着でありながら、内には燃えるような使命感と苦悩を秘めた複雑なキャラクターだが、小栗旬は見事に演じきっている。
特に印象的だったのは、刻々と変化する状況の中で難しい決断を下さなければならない彼の表情。
微細な目の動きや、声のトーンの変化だけで、彼の抱える重圧や葛藤が痛いほど伝わってくる。
リーダーとしてのカリスマ性と、一個人としての人間味を絶妙なバランスで表現し、観客は彼の選択の重さに共感せずにはいられない。
松坂桃李演じる政府の人間とは異なる、医療従事者の視点からの苦悩や倫理観の葛藤が、松坂の巧みな表現力によってリアルに描かれていた。彼の演技は、この未曽有の事態における医療従事者の献身と、その裏にある計り知れないプレッシャーを見事に伝え、観客は彼を通して、現場の緊迫感と使命感を追体験できる。彼の熱演なくして、この映画の感動は生まれなかっただろう。
松坂桃李の演技
今回、松坂桃李が演じた厚生省の官僚は、この作品における希望の光をなんども差し込んでくれる。
役人として守るべきルールが多くある中、彼の機転によって道筋が開ける部分はなんども胸を打つものが多い。
DMATの小栗旬とのタッグというかバディともいえる関係性も見応えがあるのに加えて、
SNSやメディアによる批判を苦も無くサラリと交わしているように見せながらも、最善を尽くそうと奔走する姿は、
そして彼が1人の人間らしい苦悩を吐露するシーンは、前半とのギャップからさらに胸打たれるものといえる。
まさに現代社会の「フロントライン」で戦う人々の姿を映し出しているようだった。彼の演技は、この映画に骨太なリアリティと深みを与え、作品のメッセージ性を強く引き立てている。
さらに圧倒的な存在感をもっていたのが仙道を演じた窪塚洋介
、彼が初めて登場したシーンから強いオーラを感じる。
それは結城をちゃんづけでよび、過去の災害での経験を共有しているからこそ持っている危機的状況下での判断は徹底して「人道」を貫いている。
さらに独自の哲学を持ち、時に主人公たちを揺さぶるような言動で、観客の心にも深く問いかける。
窪塚洋介は、仙道の内に秘めた信念を、独特の間の取り方や喋り方で見事に強烈なキャラクターを作り上げたといえる。
単なる毒舌…というか現場を大切にしているリーダーであり、時に静かに、時に爆発的に演じ分け、物語に深みと緊張感をもたらしている。
森七菜が演じたのは、船内クルー。彼女の存在が物語に温かみと人間性をもたらしていた。
当初から乗艦しているお客様のために動き回る姿が印象的で、一番人間として感情が全面的に出ているキャラクター。
目の前で繰り広げられる悲惨な状況を目の当たりにする中で、恐怖や不安、そしてそれでも誰かの役に立ちたいという強い意志を貫き通す姿が、瑞々しくも力強く表現されている。
時にDAMTに観客の家族をどうにか合わせて欲しい思いをぶつけるシーンがあるのだが、その思いを静かに汲み取るDMATの仙道(窪塚洋介)との堆肥もムネアツな展開の撒き餌にもなっている。
この映画は、実際に発生したダイヤモンド・プリンセス号の事案から着想を得つつも、大胆な創作が加えられており、それが作品のメッセージ性を一層強めている。
もちろん演出が加わることでエンターテイメントとしてのスリルが増しているのはあるだろう。
映画では政府内部の動きの遅さや、マスコミによる、アオリともいえる不確かな情報であったり、一方の情報を積極的に報道するといった問題点は明確に描かれている。
ある意味、情報操作の描写がより強調されており、現実社会の不透明さや複雑な意思決定プロセスを風刺しているのは間違いない
一方で少し物足りなさを感じたのは
実際の現場の姿を描いた様子がもうちょっと観たかった
主演の小栗旬にしても松坂桃李にしても、管理運営をする側
実際の現場にたって医療の最前線だった方々の姿をもう少し観たかった
そして、いわれなき誹謗中傷にあっていた方々を いまだからこそ救うような行動や言葉がほしかった気持ちは少しある
実際のダイヤモンド・プリンセス号では比較的秩序が保たれたといわれている。本作でもその部分は露骨ではないもののDMATがクルーによって閉鎖空間での苦労を「みんなで乗り越えた」ともいえる演出になっている。
忘れてならないのが
未知のウィルスに対応すべくDMATの方々に対して、無責任な報道を繰り返したメディア
そして専門分野だったとはいえ、身勝手な行動を取った医者などの姿は忘れてはならない
特に身勝手な行動をしYoutubeで発言をした医者はメディアがこぞって英雄のように取り扱った様々な番組に出演していたが、それらの行動に対して一つの答えがこの映画では明確に語られている。
この映画が100%正義でもなければ、その時の対応が100%正解だったとは言えないのは大前提だとしても、当時のメディア報道はあきらかに身勝手で不確定情報を垂れ流していたのは紛れもない事実だったことを思い出させてくれる。
この映画は実際におきた事件を元にした映画であって、ドキュメント映画ではない
エンターテイメント性よりもドキュメンタリー性は強い映画となっている
なのでドキュメンタリー映画ではないので、演出などはある
それを紐解いて 酷評吸うのも違うと 個人的には思います