若きエリートたちによって、「日本の敗戦」はすでに予測されていた 「開戦前夜」予告

若きエリートたちによって、「日本の敗戦」はすでに予測されていた 「開戦前夜」予告



実在した「総力戦研究所」と日米開戦への流れを描いた映画「開戦前夜」が、2026年7月31日より公開されることが決まった。
 
 「開戦前夜」は、2025年8月に放送されたNHKスペシャル「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」のドラマパート(前後編計98分)を、138分の完全版とした作品。ドラマパートは、猪瀬直樹のノンフィクション「昭和16年夏の敗戦」を原案として創作された。個々人の戦争への恐れや抗いを押し流して、開戦へと向かった昭和16年夏の「世の中の空気」を描き出した作品となっている。
 
 1941年4月。真珠湾攻撃の8カ月前。日本中のエリートたちが集められた「総力戦研究所」がデータから導き出したのは、アメリカに対する「圧倒的な敗北」という衝撃のシミュレーション結果だった。原爆投下以外のほぼすべてを的中させていた彼らの見解は採用されることはなく、日本は勝ち目のない戦いへと突き進んでいった。その理由や、国を灰燼(かいじん)に帰した”空気”の正体など、80年以上前の真実が描き出される。 
 
 主演の池松壮亮を筆頭に、仲野太賀、岩田剛典、中村蒼、三浦貴大、國村隼、佐藤隆太、江口洋介、佐藤浩市といった面々が、歴史の分岐点に立った人物たちの葛藤を体現している。監督・脚本・編集を石井裕也が務めた。池松らのコメントは以下の通り。

【コメント】

■池松壮亮
はじめて今作の脚本を読ませて頂いた時、知らなかった戦前の敗北の歴史を知り、脈が乱れ、息が詰まり、涙が止まりませんでした。2025年の戦後80年に、自分のできるすべてを今作に捧げたいと願い、毎日祈るように撮影現場に向かっていました。
今作を凄まじい情熱と責任を持って作り上げてくれた石井裕也監督に、感謝と敬意を捧げます。そして大きな使命を共有し、共に闘ったスタッフ、キャストの皆様に心から感謝します。日々あり得ないことが起き続ける世界に、この映画が何が出来るのかを考え続け、映画の持つ小さな奇跡を信じ続けました。どうかたくさんの方にこの映画が届いてくれることを願っています。

■仲野太賀
昭和16年と令和8年。時代も違えばテクノロジーも進歩し、我々の生活は当時とは何もかもが変わりました。
しかし、今作への参加にあたり「総力戦研究所」の存在を知ったとき、過去と現在に共通するある種の「違和感」が浮き彫りになりました。
当時、彼らが対峙していたのは、敵国以上に、抗うことのできない時代の奔流や同調圧力、そして得体の知れない「空気」そのものだったのかもしれません。戦後80年が経過し、社会情勢が不安定さを増す現在、今作が描く不穏さは、決して遠い過去の出来事とは思えないのです。

■岩田剛典
海軍少佐の村井和正役を演じた岩田剛典です。
個人的なことですが、僕の祖父は予科練に所属していましたので、宿命のようなご縁を感じながら参加させて頂きました。
地上波放送では放送されていない未公開シーンを含め完全版の内容です。 
ぜひ劇場でお待ちしています。

■中村 蒼
戦後の我々が対米戦争は間違いだったと言うのは簡単ですが当時の『総力戦研究所』に所属していた方がその答えを出すのは相当な覚悟が必要だったと思いますし各自の情報と経験に基づき真剣に議論を重ねたと思います。
正しい知識と情報を基に話し合い導き出した”日本必敗”という答えが”大和魂”というたった一言の精神論で緻密なシミュレーションが無視されて戦争へと進んでしまいました。
どんなに正しい事を言ったとしても歴史の空気や流れには決して勝てないという事は様々な組織でもある事だと思うので共感出来る所は多々あると思います。
多くの命が奪われてしまった出来事を忘れない為にも多くの方に届いてほしい作品です。

■三浦貴大
撮影当時、全ての俳優が議論を交わし作品に向けて一つになっていたように思います。
そういった面でも稀有な作品です。
映画として公開されることになり、今、他人事ではなくなった戦争について再び考える切っ掛けになってほしいと強く願います。

■國村 隼
誰もが望んではいないであろう、はずの戦争が何故、起こってしまうのか…。
この「開戦前夜」という作品には、かつて日本が辿った、戦争への道筋が描かれている。
当時、世界から孤立していった日本には、本当に戦争という選択肢しか残されていなかったのだろうか?
世界は、“あの時”に戻っているのではないかと思いたくなる様相で、だからこそこの作品は生まれ、いまここにあるのだろう。

■佐藤隆太
今回、久し振りに石井監督と再会できた事が何より嬉しかったです。参加初日から石井組ならではの心地良くも鋭い緊張感が張り詰めた現場に、その場にいた役者たちが武者震いをしているようでした。あの場で生まれたひとつひとつの呼吸までもが伝わる様な、研ぎ澄まされた作品になっていると思います。多くの方に受け止めて頂きたいです。

■江口洋介
開戦前夜、日米開戦に向けての沢山の書物に目を通し、総力戦研究所や陸軍省軍務局について学び、
スタッフキャストと共にこの作品に魂をかけて望みました。
静かに広がる同調圧力、後戻りが出来ない恐怖、身動きが取れない時代の空気は、現代にも通ずるものがあると感じます。
何故日米開戦は起こったのか、沢山の命がなぜ失われたのか、是非、劇場で観ていただきたい作品です。

■佐藤浩市
当時は国に阿る論調のあった新聞。
それに踊らされアメリカを叩けと吠える民。
一周回って、それを世論として看過できずにチキンレースに出ていく国。
戦争という最大の人災が起きる不幸のトリニティが産み出される瞬間、それが開戦前夜。
2度と繰り返してはならないと誰もが思っているのに世界の何処かで起きている戦争。
日本は未来永劫、戦後でなければならない。

■監督・脚本:石井裕也
日米開戦直前、日本社会に不気味に漂っていた「空気」は、確実に引き継がれて現代にも存在します。
日本を代表するキャスト、スタッフと共に今この作品が作れたことの大きな意義を感じています。

■原案:猪瀬直樹
僕が『昭和16年夏の敗戦』を取材・執筆していたのは30代前半でした。総力戦研究所の研究生たちも30歳から35歳。だからこそ、自分がその場にいたらどうだったか、どう行動したかと自問しながら書くことができた。
当時、第一期生は70代後半くらいになっていました。直に会って、日本が「空気」に負けた、生々しい瞬間を聞き取りました。彼らがどういう気持ちでいたのか、なるべく再現したつもりです。僕が描こうとしたのは単に「総力戦研究所がありました」ではなく「昭和16年夏の敗戦」という物語なのです。
そして発表当時から40年以上を経て、石井裕也監督、池松壮亮さんら俳優陣が強い思いを持って映像化を実現してくれました。活字と映像表現は違いますから、脚色が加わることは充分ありえることです。原案作品のテーマをしっかり読み込んでいることが伝わる脚本だったので、僕としては満足です。日本の若き才能に感謝しつつ、「空気」ではなくファクトとロジックによる意思決定の重要性をこれからも訴えていきたい。戦後80年を超え、迷走する日本の未来のために。この映画の公開に期待しています。

【作品情報】
開戦前夜
2026年7月31日(金)全国ロードショー
配給:東京テアトル
©2026 ポニーキャニオン/東京テアトル/NHKエンタープライズ/RIKIプロジェクト

View Comments (29)
  1. 水木しげるの母ちゃんでさえ日本は負けると分かってたから殆どの人が負け戦だと分かってたんだろうな

  2. 日本が取れる唯一の勝ち筋は
    真珠湾攻撃でアメリカ太平洋艦隊に壊滅的な打撃を与え、開戦初期の段階で米国に早期講和(和平)を結ばせる事だったけど、ぶっちゃけこれが失敗(米国側燃料タンクや修理施設、空母は無事で被害は正直軽微)だった時点で日本政府はほぼ全員敗北を確信してたけどもう後には引けなかった。

  3. 満州国作ったあたりでやめといて、今みたいにのらりくらりやってたら戦争せずに済んだのかな?

  4. 戦争で多くの方が亡くなったのは事実だが、もし戦争がなくて俺のじいちゃんとばあちゃんが出会ってなかったら(それぞれ別の人と出会ってたら)俺は生まれてないのか…とか考えると複雑な気持ちになる。

  5. ドイツ第三帝国はアメリカとの開戦をどのように予測したのだろうか。
    そもそもはソビエトと開戦しているわけだが。

  6. 中国、アジア諸国と戦争してさらに対米戦となって日本が敗けることなんてまともな知能があれば誰だってわかることで、問題はドイツが敗けることをちゃんと予測できてたかだな
    戦争推進派はドイツに賭けてるだけだしな

  7. 核持ってない日本は詰んでるね
    どうやら戦争を経験することになりそう
    病気じゃなくて殺されて人生終わるのかもな

  8. こんにちは、ほらねやっぱり旧日本政府がエネルギーもないのにアジアにエネルギーを求める為に関係のない人達を巻き込んで戦争して多くの人達を犠牲にして旧日本政府は、何を得ましたか?その結果が日本全土を焼き核兵器を落とされ、沖縄でも多くの犠牲者を出して日本は、負け、アメリカの植民地に日本は、成りました、旧日本政府が馬鹿な戦争何てしなければ硫黄島やサイパン、沖縄、日本全土が戦場にならずに済んだし食料難や物が無い時代を過ごさなくても良かったはず、それは、私があの戦争から暫くして生まれた物だからだ

  9. まあ、それを言うなら日露戦争の方が99.9%負ける戦争だった。でも、どう外交やってもロシアが侵略をやめてくれないのでやらざる得なかった。しかし、ギリギリのところで勝ち逃げする事ができた。大東亜戦争の時は日本はアメリカよりは劣っているとは言え、戦力的に極端に劣っているとまでは言えなかった。やはり、時のルーズベルト政権は日本に対して極めて好戦的であり、どのような外交努力を行なってもやめてくれなかった。だからどうしてもやらざる得なかった。

  10. 確かこの研究所は「自由に言論ができる場を設けたい」という目的で作られたから、直属であっても介入できる権限がなく、更に「必ず負ける」と結果が出た有名な1941年8月の研究の後にも、実は「長期戦じゃなければ勝てる」という研究結果も出てたりしてたから、戦争必敗というのはちょっと誤りがある。

    因みに、ここで模擬内閣などの経験を積んだ人たちは、終戦後に初代家庭裁判所長や日本銀行の総裁になったして戦後復興に多大な貢献をしてるので、「何の意味もなかった」も違います。

  11. 歴史を鑑みて誰が悪かったとかどうすべきだったとかいうのは誰でも出来ること。だから今更悪者とヒーローが脚色されたエンタメだけの歴史映画はいらないんだよ。歴史を鑑みて今どうすれば最悪の結果を回避できるかを考えるべき。

  12. 一般人も、「正確な情報」が手に入るなら、
    多分誰でも敗戦は分かったと思うけどな笑
    福島の原発問題だって、今見たら、どう考えてもあれは事故が起きるもの。

  13. NHKでやってた総力戦研究所じゃん。
    リメイクするの?
    あと東條英機より
    阿南惟幾と畑中の方が悪いだろ
    自決して、裁判に出てないから
    罪が分かり辛いだろうが…

コメントを残す