「大門は、お前にしか撃てない」――配役の日、石原裕次郎はそう言って、団長の役を渡哲也に預けました。五年間で四千六百台の車を潰し、日本中の空に火柱を上げ続けた『西部警察』。その豪快な現場で、裕次郎がたった一度だけ流した涙を、渡哲也はこの目で見ています。これは、晩年の渡哲也が一人語りで、あの朝の涙の本当の意味を静かに解き明かしていく物語です。
大病から半年ぶりに現場へ帰ってきた朝、門の前に自然と並んだ二百人のスタッフ。「心配かけたな」の一言と、爆破のあとに濡れていた頬。「みんなの顔を見たら、涙が出ちゃったよ」――その涙には、生きて帰れた安堵だけではない、もう一つの意味が隠されていました。そして三年後、渡は自ら「大門を、死なせてください」と申し出ます。蜂の巣になって路上に倒れた最終回、モニターの横でサングラスを外した男。二つの日を繋ぐ一本の線が、やがて「任せる」ということの本当の重さを浮かび上がらせます。
昭和のテレビの黄金時代を知る方、日曜の夜に銭湯が空になったあの頃を覚えている方へ。誰かに黙って任せてもらった記憶が一つでもある、すべての人に届けたい物語です。最後まで、どうかゆっくりとお付き合いください。
▼ チャプター
0:00 社長の涙と西部警察
0:34 半年ぶりの現場復帰
2:17 無茶の塊、西部警察
4:18 大門圭介の誕生
5:19 社会現象と現場の絆
7:34 「お前にしか撃てない」
10:28 社長の病と現場の覚悟
13:16 涙の真の意味
15:51 大門の死と本望
18:40 大門の死、そして伝説へ
20:40 受け継がれる精神
21:58 背中で語るということ
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📖 流れゆくままに(渡 哲也/著)
渡哲也さん本人が、裕次郎さんとの日々、西部警察の現場、闘病までを綴った自伝。本編の一人称の原点です。
📖 石原プロモーション公式社史(写真900点)
西部警察の爆破現場や全国縦断ロケの記録も収めた保存版。あの祭りの熱がそのまま残っています。
📖 渡哲也俺(柏木 純一/著)
毎日新聞連載をもとにした評伝。大門圭介を生きた男の素顔に迫る一冊です。
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📖 裕次郎(石原 まき子ほか)
裕次郎本人が遺した言葉と妻の看病日記。復帰の朝の涙の、その後の日々と重なります。
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