俳優の福地桃子と映画監督として活躍する河瀬直美(※瀬=旧字体)が、昨年の「第38回東京国際映画祭」で最優秀女優賞をダブル受賞した映画『恒星の向こう側』が、10月30日より全国公開されることが決定した。
本作は、『四月の永い夢』(2017年)、『やがて海へと届く』(2022年)などを手がけた中川龍太郎監督の最新作。母を嫌い続けてきた娘が、余命わずかな母と残された時間を過ごす中で、長年積み重なった親子の確執と自分自身に向き合っていく姿を描く。
中川監督が、『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(2015年)、『四月の永い夢』に続き、喪失と再生をテーマに撮り上げた3部作の最終章。誰よりも深く結びついているからこそ互いを許せなかった母と娘が、避けられない死を前に、それぞれの人生を見つめ直していく。
福地は、主人公の未知を演じる。母親の顔色をうかがいながら成長し、自分が母になることにも自信を持てない女性が、一人の人間として母を知ることで、自らの人生を肯定していく姿を体現する。
余命わずかな母・可那子役は、『あん』(2015年)、『たしかにあった幻』(2016年)などの監督として知られる河瀬。中川監督たっての希望で出演が実現した。死へ向かう可那子の生きざまを激しい存在感で演じた。
共演には、未知の夫で演出家の登志蔵を演じる寛一郎をはじめ、可那子の過去の秘密の鍵を握る万理役に朝倉あき、若き日の可那子役に南沙良、未知が働く児童施設の職員役に久保史緒里と三浦貴大、現在の万理役に中尾幸世らが名を連ねる。
解禁された予告編は、母を嫌い続けてきた未知が、母の過去をたどることで自分自身と向き合っていく姿を、静ひつな映像で映し出す。さまざまな人物の視点から母娘の姿が語られ、二人に対する印象が少しずつ変化していく構成となっている。
東京で子どもの居場所づくりを支援するNPOに勤める未知は、母の可那子が倒れたとの知らせを受け、久しぶりに奈良の実家へ帰る。そこで、可那子が進行性のがんを患いながら、治療を拒否していることを知る。
休職して母の闘病生活を支えようとする未知に、可那子は「親子でもな、他人やで」と言い放つ。母に自分の選択を否定されながら育った記憶から抜け出せない未知と、娘を思うように愛せなかった可那子。そこへ未知の夫・登志蔵がやって来るが、可那子は彼に、別れた未知の父親の姿を重ねる。そして、このとき未知の体には新たな命が宿っていた。
劇中では1980年代から2025年までいくつもの時代を、そして奈良と北海道・野付半島の地を行き来しながら、現在と過去の対話の中で人と人のつながりが語られ、中川監督ならではの映像美が言葉にならない感情を映し出す。さらに、その一部を創作過程の演劇作品として描くことにより、登場人物の個人的な体験を普遍的なドラマへと昇華させた。
劇伴と主題歌「まばゆく」(歌:Meadow)を手がけたのは、劇場アニメ『ルックバック』(2024年)、映画『この夏の星を見る』(2025年)、放送中のドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS)などの音楽を担当するピアニスト・作曲家のharuka nakamuraで、その祈りにも似た神聖な音色と歌声が深い余韻を残す。
予告編の最後のカットでは、母と娘と思われる2人が、やさしい夕暮れの光の中でおんぶした後ろ姿が映し出されている。
福地桃子
河瀨直美 寛一郎 朝倉あき 南沙良
三浦貴大 久保史緒里 中尾幸世
監督/脚本/編集:中川龍太郎
音楽:haruka nakamura
エグゼクティブ・プロデューサー:和田丈嗣 道下剣志郎 プロデューサー:稲葉もも 音楽プロデューサー:山口響子 アソシエイトプロデューサー:天野恵子 ラインプロデューサー:日出嶋伸哉 撮影監督:上野千蔵 照明:高橋朋裕 録音:内田雅巳 美術:相馬直樹 装飾:岩本智弘 助監督:甲斐聖太郎 制作担当:三島翔一 スタイリスト:石橋万里 ヘアメイク:菅原美和子 編集:佐近圭太郎 甲斐聖太郎 カラリスト:横田早紀
制作プロダクション:Production I.G 配給:NAKACHIKA
©2025映画「恒星の向こう側」製作委員会
2025年/日本/カラー/シネマスコープ/DCP/5.1ch/92分